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【保存版】ロボット工学の研究者が目指すべき国際会議・学会まとめ|難易度と次回開催地

【保存版】ロボット工学の研究者が目指すべき国際会議・学会まとめ

ロボット工学(Robotics)は、メカトロニクス、制御、AI、HRI(ヒューマンロボットインタラクション)など、非常に幅広い領域を含みます。

この分野で世界的な評価を得るためには、IEEE(米国電気電子学会)」が主催するトップカンファレンスでの発表が不可欠です。
この記事では、ロボット研究者が目指すべき「2大トップ会議」と、分野別の「専門会議」、そして登竜門となる「国内学会」を整理しました。

1. スケジュール一覧(2026年以降)

まずは全体像を把握しましょう。トップ会議(ICRA, IROS)は毎年開催されますが、専門会議は隔年開催のものもあります。

会議名 分野 開催頻度 次回開催(予定)
ICRA 総合(春) 毎年 2026年5月:ウィーン 🇦🇹
IROS 総合(秋) 毎年 2025年10月:杭州 🇨🇳
2026年10月:未定
RoboSoft ソフトロボ 毎年 2026年4月:金沢🇯🇵
HRI 対話・心理 毎年 2026年3月:エディンバラ🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿
SII システム統合 毎年 2025年1月:ミュンヘン 🇩🇪
2026年1月:カンクン 🇲🇽
CASE 自動化 毎年 2026年8月:未定
BioRob 生体医工 偶数年 2026年8月:エドモントン 🇨🇦
ICORR リハビリ 奇数年 2027年5月:スイス 🇨🇭
Humanoids 二足歩行 毎年 2026年:未定

2. 【総合・トップ】世界最高峰の2大国際会議

ロボット研究者なら誰もが憧れる、この分野の二大巨頭です。

ICRA (International Conference on Robotics and Automation)

難易度:★★★★☆ 毎年(5月頃) 2026年:ウィーン

ロボット工学の最高峰。
IEEE RAS(Robotics and Automation Society)が主催する、世界最大かつ最も権威ある会議です。ハードウェア、制御、AI、ナビゲーションなど全領域をカバーします。採択率はおよそ40%前後と狭き門です。

  • ターゲット: ロボット工学全般。特に新規性の高い基礎技術やシステム。
  • 投稿形式: 6〜8ページのフルペーパー。
  • ポイント: ここに通れば世界レベルの研究として認められます。企業展示やワークショップも非常に充実しています。
公式サイトへ

IROS (International Conference on Intelligent Robots and Systems)

難易度:★★★★☆ 毎年(10月頃) 2025年:杭州 / 2026年:未定

ICRAと双璧をなすトップ会議。
IEEEとRSJ(日本ロボット学会)等が共催しており、日本とも縁が深いです。ICRAと同様に全領域を扱いますが、「システム」や「知能化」にやや重点が置かれる傾向があります。

  • ターゲット: ロボットシステム、知能ロボティクス全般。
  • 投稿形式: 6〜8ページのフルペーパー。
  • ポイント: 秋開催のため、日本の学生(修了間際の研究成果)にとって投稿タイミングが良いのも特徴です。
公式サイトへ

3. 【標準・エントリー】学生におすすめの国際会議

トップ会議への登竜門として、あるいは特定の応用分野で実績を作りたい場合に最適な会議です。

SII (Symposium on System Integration)

難易度:★★☆☆☆ 毎年(1月頃) 2026年:カンクン

システムインテグレーションの国際シンポジウム。
IEEEとSICE(計測自動制御学会)が共催しており、日本からの参加者が比較的多いのが特徴です。ロボット単体の技術だけでなく、それらをどう組み合わせてシステムとして機能させるか(SI)に焦点が当てられています。

  • ターゲット: ロボットシステム応用、実世界実装。
  • 投稿形式: 4〜6ページのフルペーパー。
  • ポイント: ICRA/IROSに比べると採択率が高く、学生の国際会議デビューや、実用的なシステム研究の発表の場として最適です。
公式サイト(SICE SI)へ

4. 【分野特化】専門性を極めるIEEE会議

特定の技術や応用分野に特化した会議です。自分の研究テーマに合致すれば、トップ会議以上に濃密な議論ができます。

RoboSoft (International Conference on Soft Robotics)

難易度:★★★☆☆ 毎年(春頃) 2026年:金沢

ソフトロボティクスの専門会議。
柔らかい素材(シリコン、布、ゲルなど)を用いたロボットの研究が集まります。近年急成長している分野で、材料科学とロボット工学の融合領域として注目されています。

公式サイトへ

HRI (ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interaction)

難易度:★★★★★ 毎年(3月頃) 2026年:エディンバラ

ヒューマン・ロボット・インタラクションの最高峰。
ロボットと人間の「関わり」を研究する会議。工学だけでなく、心理学、認知科学社会学、デザインのアプローチが必須です。

公式サイトへ

BioRob (Biomedical Robotics & Biomechatronics)

難易度:★★★☆☆ 2年に1回(偶数年) 2026年:エドモントン

医療・福祉ロボットの専門会議。
ロボット学会(RAS)と医療工学会(EMBS)の合同会議。手術支援ロボットや義手義足など、生体医工学寄りのロボット研究が集まります。

公式サイトへ

ICORR (Rehabilitation Robotics)

難易度:★★★☆☆ 2年に1回(奇数年) 2025年:スイス 

リハビリロボットのトップ会議。
外骨格ロボットや歩行支援機がメイン。工学者だけでなく医師や理学療法士も参加し、臨床的な有効性が重視されます。RehabWeekの一部として開催されます。

公式サイト(RehabWeek)へ

▶︎医工学系の国際会議・学会はこちらでまとめています

lucky-one.hatenablog.com

CASE (Automation Science and Engineering)

難易度:★★★☆☆ 毎年(8月頃) 2026年:未定

「自動化(オートメーション)」の専門会議。
工場自動化(FA)、物流システム、サプライチェーンなど、システム全体の効率化や最適化に焦点を当てています。

公式サイトへ

Humanoids (Humanoid Robots)

難易度:★★★☆☆ 毎年(冬頃) 2025年:未定

二足歩行・ヒューマノイドの聖地。
人型ロボットに特化した会議です。二足歩行の制御、全身運動計画、人間とのインタラクションなど、ヒューマノイド特有の課題を扱います。

公式サイトへ

5. 日本の「現場」を知る国内学会

ロボット研究が盛んな日本には、独自の実践的な学会があります。

計測自動制御学会 SI部門講演会 (SI) システム統合 毎年12月

「SI(エスアイ)祭」と呼ばれる冬の定番。
国際会議SIIの国内版とも言える位置付け。ロボット要素技術をどう組み合わせてシステムにするかに焦点を当てた学会です。学生の発表件数が非常に多く、活発です。

公式サイト ↗
日本ロボット学会学術講演会 (RSJ) 国内最大 毎年9月

日本ロボット学会の年次大会。
日本のロボット研究の総本山です。基礎理論から応用まで全分野を網羅しており、日本のロボット研究のトレンドを把握するには最適の場です。

公式サイト ↗
ロボティクス・メカトロニクス講演会 (ROBOMECH) ポスター発表 5-6月開催

「ロボメック」の愛称で知られる日本機械学会の部門大会。
ポスター発表がメインで、PCや実機を持ち込んでデモをしながら議論できるのが最大の特徴。企業の研究者も多く、非常に活気があります。

公式サイト ↗

まとめ:自分の「土俵」を見つけよう

ロボット工学は分野が細分化されています。「なんとなくICRA」を目指すのも良いですが、自分の研究テーマ(AI寄り? システム寄り? ヒューマノイド?)に特化した会議を選ぶことで、より深い議論と評価が得られます。

  • 王道・総合力なら ➡ ICRA / IROS
  • まず国際会議デビューするなら ➡ SII
  • ソフトロボットなら ➡ RoboSoft
  • 人とロボットの関係なら ➡ HRI
  • 医療系のロボットなら ➡ BioRob / ICORR
  • 自動化なら➡ CASE
  • 二足歩行なら ➡ Humanoids

自分の研究が最も輝くステージを選んで、挑戦してください。